ポリペプチド鎖のヘリックス−コイル転移と会合挙動
アミノ酸の重合体であるポリペプチドの中には、外部環境に応じて、分子鎖の形態を大きく変化させるものがあります。非イオン性の水溶性ポリペプチドであるポリ[N5-(2-ヒドロキシエチル) L-グルタミン](PHEG)では、溶媒として水を用いた場合、柔軟なランダムコイル状の高分子として振る舞いますが、アルコール系の溶媒に溶かしますと、棒状のα-ヘリックス構造を形成します。このような分子鎖形態変化を利用して、高分子凝集体の構造を制御することができるのではないか、という発想の元、研究を進めています。具体的には、
(1) ポリペプチド鎖が会合体コアを形成する場合
会合体コア中で高分子濃度が高い場合には、分子鎖充填様式はその形態によって変化するはずです。例えば剛直なヘリックス構造である場合、コア中のPHEG分子鎖はお互いが平行になるようにパッキングされると考えられます。このような充填様式の変化を反映して、会合体全体の構造が変化することを見出しています。
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